今回はナイキの三段跳スパイク【トリプルジャンプエリート2】を独断と偏見マシマシでレビューして行きたいと思います。

トリプルジャンプエリート2について
トリプルジャンプエリート2はNIKEが展開している三段跳専用スパイクです。
発売された2021年当時、一部のスパイクオタクの間で世界歴代2位(18m21)の記録を持つクリスチャン・テイラーモデルでは?と密かに話題になりました。
重さは25.5㎝でピンを取り外した状態で217gでした。
ミッドソールがボリューミーな割には軽めのほうではないでしょうか。
サイズ感は普通のスパイクと同じでいいと思いますが、NIKEのスパイクはアシックスやミズノに比べて全長が少し長めなので心配な方は店舗での試し履きをオススメします。

トリプルジャンプエリート2のアッパー
まずはアッパーから見ていきましょう。
陸上のスパイクというよりは、スニーカーのような見た目をしていてベルトもついていないため安定感はなさそうですが、硬めの素材が使われているためか想像以上にしっかり足を包み込んでくれます。実際の跳躍の場面でもアッパーの横ブレ等は感じません。アッパーの横ブレはね・・・
アッパーにデカデカとついているナイキのロゴは布を染めているわけではなく、なんて言うのでしょうか、シールっぽいものを張り付けているタイプのあれになっています。長く使っているとロゴがバキバキにひび割れてきそうですね。

踵部は謎の穴が無数に空いています。デザイン性と軽量化のためでしょうか。
あとこれはナイキスパイクあるあるなのですが、踵部が異様に上に長いのでアキレス腱に当たることがあります。僕は気になりませんがアキレス腱痛持ちの方にとってはマイナスポイントになるかもしれません。

トリプルジャンプエリート2のプレート、ソール
このスパイクはタイトルにもあるように次世代三段跳スパイクです。
そう言える理由としては最近陸上界を席巻している柔らかいミットソールとフルレングスのカーボンプレートが採用されているからです。とは言えどもミットソールはヴェイパーフライやドラゴンフライに使われている軽量高反発素材である”zoomx”ではないので100%次世代スパイクかというとそうでもないかもしれませんねw
プレートのピン配列は海外製スパイクによくある2‐2‐3となっています。
二列目の小指球側にはピンがついていませんが、どうやらピンレス構造となっているそうです。なぜこ こだけピンレス構造にしたのかは正直謎です。軽量化に一役買っているとかですかね。
プレートの奥に配置されているのはカーボンプレートです。大きくナイキのロゴがあしらわれていてかっこいいですね。

カーボンプレートは踵までは入っていないので、実際履いてみると踵がふわっふわで三段選手によくある踵痛を予防できそうです。しかしこの構造が悪さをすることもあります。(後述します)

トリプルジャンプエリート2を使ってみての感想
トリプルジャンプエリート2の良い点
使いやすい
練習で何度か使用してみてまず思ったことは、見た目やカタログスペックとは裏腹にとても使いやすい!カーボンプレート入りのスパイクは大体大癖スパイクと相場が決まっているという偏見が見事に覆されました笑
カーボンプレートと厚めのミッドソールのせいで普通のスパイクと比べると反発のタイミングは変わりますが、同社の幅跳び用スパイクair zoom LJ ELITEのような硬さやピーキーさは感じないです。
高反発
初めて履いて軽くバウンディングをしてみたときは反発のタイミングが合わないと感じましたが、短中助走や立五段跳等で出力を上げて跳躍をしたところ、意外とすんなりとカーボンプレートが曲がり前方向への跳躍をサポートしてくれました。(カーボンプレートの特性なのか前方向にライドする感じが強いです。)
これはかなり個人的な感想なのですが、カーボンの反発のおかげで失敗跳躍が少しだけマシなものになる気がします。まあ失敗は失敗なのでメリットかというと微妙なところですが・・・
優しい
このスパイクで何度か練習して一番感動したのが、跳躍のダメージが抑えられることです。
しつこく跳躍練習をしたあとは足底や脛などにかなり疲労でスパイクを脱ぐときに脚がプルプル震えがちなのですが、トリプルジャンプエリート2だとそれがありませんでした!
分厚いミッドソールの恩恵!!
トリプルジャンプエリート2の悪い点
走りにくい
まず感じたのは普通に走りにくい、ソールが厚くてふわふわなせいで助走で乗り込めているのかがわかりにくい、見た目通り!まあこのスパイクはどっちかというとパワー型跳躍に適していると思うので多少走りにくくても問題ないかもしれないですね。
絶望的な安定感
個人的にこのスパイクの一番よくないと思う点は踵部の柔らかさです。過剰ともいえる柔らかさのせいでアッパーのぶれがなくてもタイミングや入り方が少しでも悪いと結局ぶれます。
足首が柔らかい(弱い)人だと捻挫しやすくなると思います。
かくいう私も捻挫をしやすい人間なのでこの要素のマイナスが大きすぎて戦力外通告をせざるを得なくなりました。かなり好きな部類のスパイクだったので誠に遺憾であります。
どんな選手に合っているか
- 足首が頑丈で捻挫しにくい
- 乗り込み技術がある程度ある→ダブルアームで地面をしっかりとらえられるとなお良い
- 練習でもガンガン跳びたい
- パワー型の跳躍の選手
- 踵の怪我が多い選手
注意点
- WAのシューズ規定に引っかかるため公認大会だと三段跳でしか使用できない。
- 2024年秋以降使用ができなくなる可能性がある。(シューズの厚さの制限が20mm以下になるため。しかしアマチュアクラブ、学校、大学、マスターズレベルの大会では適用されないと明確化もされるそうなのでトップレベルを目指す選手以外は気にしないでもいいかも。)
総評
項目 | 評価 |
反発 | |
安定感 | |
サポート性 | |
使いやすさ |
まとめ
良い点悪い点を紹介してきましたが総合的にみるとかなりクオリティーが高い一品となっています。
クリスチャン・テイラー選手はこのスパイクで18mを跳んでいるし、ベネズエラ代表のユリマル・ロハス選手も15m74の世界記録(2023年現在)をマークしています。世界的にみても実は実績を残しているスパイクでもあります。
人を選びますが選択肢には入るスパイクだと思っています。
この記事が少しでもスパイク選びの参考になれば幸いです!!